KRONOS と MONTAGE を比較してみます。
前置き
「比較」としていますが、優劣をつけるものではなく、
どういった違いがあるかを見ていく記事になります。
なお、FM音源についての私の理解度は以下の記事程度
なので FM-X音源には触れません。ご了承ください。
以降は 88鍵盤での比較になります。
鍵盤
KRONOS は RH3鍵盤です。
アコースティックピアノのように低音部は重く、
高音部は軽い仕様の鍵盤です。
MONTAGE は BH鍵盤です。
ピアノタッチではありますが、こちらはピアノ演奏以外も
想定しており、すべての鍵盤が同じ重さになっています。
MOTIF シリーズには、代々 BH鍵盤が採用されてきました。
MONTAGE は「新たなフラッグシップシンセサイザー」という
触れ込みですが、鍵盤を見ると MOTIF シリーズを継承して
いることが分かります。
音源
KRONOS は、9種類の音源で構成されています。
KRONOS という「PC」にソフト音源がいくつか
入っているようなイメージです。
MONTAGE は、AWM2音源と FM-X音源で構成されています。
AWM2 は、いわゆる総合音源(PCM音源)で、波形メモリーは
プリセット容量が 5GB 相当、ユーザーが 1.75GB です。
KRONOS の総合音源は HD-1 で、プリセット容量は 314MB です。
AWM2 の中には、YAMAHA のグランドピアノ CFX の音色などが
収録されるので、AWM2 は少なくとも「HD-1 + SGX-2」と言えるの
ではないでしょうか。
音源の数だけを見ると KRONOS が勝っているように見えますが、
AWM2 だけで複数分の音源に匹敵すると。
また、KRONOS Sound Libraries のように MONTAGE にもサウンド
ライブラリーがあり、ベーゼンドルファーのグランドピアノの音色が
無料で提供されるようです。
期間は「2016年5月2日(月)から12月末日まで」となっています。
キャンペーンが終わると有料販売になるのでしょうか。
追記:2017年6月30日までに延長されました。
KRONOS にも無償ダウンロードの音源があります。
MONTAGE は、ここに FM-X も加わるので音作りの幅が広がりそうです。
一応補足すると、KRONOS のすべての音源のプリセット波形総容量は
21GB あります。容量の単純な比較だと KRONOS に軍配が上がりますが、
すべての機能を使う機会がある人はなかなかいないと思いますし、あくまで
一種の判断材料という認識です。
音源の概念
MONTAGE のリファレンスマニュアルより、
AWM2 のノーマルパートについて引用します。
たとえば、ピアノのパートの場合、エレメント1、3、5に鍵盤を弱く弾いた
ピアノ音を、エレメント2、4、6に鍵盤を強く弾いたピアノ音を割り当てます。
またエレメント1、2には低音域に適したピアノ音を、エレメント3、4には中音域に
適したピアノ音を、エレメント5、6には高音域に適したピアノ音を割り当てます。
そうすることで、鍵盤を弾く強さによってエレメントを切り替え、タッチセンシティ
ビティーでは表現しきれない音量や音質の差をつけることができ、鍵盤を弾く
位置によって、キースケールだけでは合わせきれない音域による音色の変化
を表現できます。
YAMAHA は音源の最少単位を「エレメント」と定義しています。
最大 8 エレメントで構成したものを「パート」、ピアノのような分かり
やすいエレメント構成のものは「ノーマルパート」と呼ぶようです。
上記の引用文について、KRONOS の HD-1 の
過去記事で似たようなことに触れました。
KRONOS の場合、音源の最小単位は「サンプル」です。
HD-1 はデュアル・オシレーター構成なので、それぞれの
オシレーターにマルチサンプルを設定して、そこから画像
のようにサンプル単位のエディットをしていくことになります。
MONTAGE でいうとノーマルパートが 2 つ
あるようなイメージになるでしょうか。
一つ目の画像では KEY ZONE(鍵盤の低音~高音) で
オシレーターを振り分けてスプリットのように設定されて
いることが確認できます。
二つ目の画像では一方のオシレーターに入り、ベロシティに
よってフォルティッシモやメゾフォルテのピアノが鳴るように
設定されていることが確認できます。
強く弾けばフォルティッシモのサンプル(エレメント)が、
やや強く弾けばメゾフォルテのサンプル(エレメント)が
発音するということになります。
二つのサンプル(エレメント)を同じベロシティ値で鳴るように
設定すればレイヤーのような扱いも可能になるということです。
ここでレイヤー、スプリットという言葉を用いるのは語弊が
あるかもしれませんが…
その他にも XA機能やウェーブ・シーケンスなど諸々ありますが、
要するに KRONOS も MONTAGE も音色(パート)を構成する
概念は似たものだと言えそうです。
ソフトウェア
PC との連携について、それぞれ KRONOS Editor と
MONTAGE Connect があります。
エディターでできることは、過去記事にも書いたのですが、
本体でできることとほとんど変わりません。
MONTAGE Connect は2016年9月6日に「V1.20」が公開されており、
現在進行形でアップデートされています。
こちらは、厳密に言うと PC ⇔ MONTAGE 間のデータ送受信ソフトです。
ですので、KRONOS エディターと比較することはお門違いな気もしますが、
とりあえずということで…
上記の YAMAHA のサイトにある通り、MONTAGE と PC をUSBケーブルで
繋ぎ Connect を使うと、ソングデータ(.MID)やパフォーマンスデータ(.X7B)の
送受信が可能になります。
KRONOS でこうしたデータのやりとりをするには USBメモリの
抜き差しか USB Ethernetアダプターでの FTP 転送が必要です。
MONTAGE Connect の対応OS は Win7~10 の64ビット版、
MAC OS X 10.9~10.11 となっています。
DAWアプリケーションの動作環境については「Cubase 8シリーズ」
などの記載があるので、新しめの環境が必要になります。
PC、DAW と連携して使う場合、現状ではMONTAGE の方が
使い勝手が良さそうですね。
コントロール
MONTAGE はモーションコントロールという機能で
パラメーターをリアルタイムに操作するようです。
目を引くのが Super Knob で、KRONOS でいうと KARMA の
コントロール・サーフェスを集約したようなイメージでしょうか。
パッと見た感じだと、モーションコントロールと KARMA は
似たことができるかなという印象です。
Super Knob は最初の設定のハードルが高そうですが、
ライブなどでは感覚的に使えて楽しそうですね。
タッチスクリーン
MONTAGE の Live Set 機能は KRONOS のセットリスト
機能とほぼ同じものだと思われます。
各メーカーとも、より演奏を想定した作りになってきました。
USB オーディオ/MIDI
KRONOS、MONTAGE ともに MIDI/オーディオインターフェース
機能を搭載しています。
KRONOS:
24ビット、48kHz
MONTAGE:
24ビット、44.1kHz(最大 192kHz)
MONTAGE は扱うオーディオチャンネル数が少ない場合、
最大で 192kHz まで対応できるようです。
オーディオインがあるので、エレキギターを繋げてシンセ内の
エフェクトをかけて鳴らすことも両機種で可能です。
USB規格
KRONOS は 2.0 に準拠しています。
MONTAGE は USBフラッシュメモリを接続する
USB TO DEVICE 端子が USB 3.0 対応で、
PC と接続する USB TO HOST 端子は 2.0 に
なっています。
外形寸法
KRONOS は初代/X と 2 で若干違います。
〇MONTAGE
幅:1,450mm
高さ:160mm
奥行き:470mm
重量:29kg
Super Knob がある分、MONTAGE の方が高さがあります。
まとめ
分かったことがあれば追記・修正していきます。
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